私たちの正解はいつだって「お客様に小さなことでも嬉しく感じてもらうこと」それだけなんじゃないかな、という話

 


「それなら、メインもパスタも別の機会にしましょうか」

 

 

 


昨日の話。

 

 

 

 

 

久しぶりの青空に気分が良くなり。
そうだ父さんにネクタイでもプレゼントするかと。
思い立って、実家へ帰ることに。

 

 


母さんに連絡すると。
「夕飯はミートソーススパゲッティの予定」とのこと。
いいね。レパートリーの少ない私の母ですが。
ミートソースは沢山の野菜を細かく刻んで、じっくりと煮込んでくれる。
とってもおいしい一皿。

 


吉祥寺のgiraffe(ネクタイ専門店)にて、店員さんと相談しながら。
胸元に「正面を見据える金魚」が織られたネクタイを購入。
そうして更に気分が良くなり。

 

 

 

 

 

 

 

まだ夕刻前でしたが。
せっかくだから。(なにが?)
ミートソースの前に、少しだけ飲んでから帰ろうかなと。

 

 

 

気になっていた浜田山のイタリアンに。
リグーリア州で修行したというシェフの土着系イタリアン。
黒板に並ぶメニューを眺めているだけで愉しい。

 

 

サービスの方の説明を聞いていたら。
ミートソースのことなんて、すっかり忘れてしまい。
自然と。前菜、メイン、パスタと組み立て始める私。

 


「とりあえず、前菜盛り合わせてお持ちしましょうか」と。
そうしましょう。あ、ワインも忘れずにお願いしますね。

 


「お住まいがこの辺ですか?」
いえ、あざみ野です

「え、遠いですね」
実家がこっちなんです

「ああ、帰られるんですね」
はい、母のミートソースを食べに帰ります

「これからですか?」
はい。。。

「(苦笑)」
。。。

という会話があり。

 

 


笑顔の爽やかな眼鏡の男性スタッフから釘を差されました。


「それなら、メインもパスタも別の機会にしましょうか」
。。。はい


「そのかわり、前菜でも温かいものがありますから、こちらなど如何ですか」と。
それ食べます!

 

 


茹でた白アスパラガスと生ハム、チェダーチーズに温泉卵。
それにシャルドネを合わせていただいて。


ああ、美味しい。
お腹に余裕を残しつつ。

 


それでは、私。ミートソースを食べに帰ります。
「はい、またお待ちしております。次回は是非、当店のパスタも召し上がってみてください。」
はい、必ず。

 

 

いいお店だ。
早速、次は家族で行くことにしましたよ。

 

 

 


何を伝えたいかというと。

 


飲食店で働いていると、ついつい。
「お客様に1円でも多くのお金を使ってもらうこと」
それを「正解」と考えがちだけど。
なんか違う気がする。違和感がある。 

 

 

 

 


「お客様に小さなことでも嬉しく感じてもらうこと」
こっちが「正解」じゃないかな。

 

 

 


高齢のお客様があまり食べられないというので。
ハーフサイズの食事を提案しました。
お店の売上は半分になるかもしれません。
でも、そのお客様はきっとちょうどいい量で満足してくれます。

 

 

 

3人組のママたちがフレンチトーストを一人一つ注文。
いや、それは量が多いかもしれないので。
まずは1つにしてシェアしてみませんか、と提案しました。
お店の売上は3分の1になってしまいます。
でも、お客様は食べきれないなんて不幸を回避できます。

 

 

 

 

乾杯だけ一口づつビールが飲みたいな、と小耳に挟んだので。
そしたらグラスのビールを半分に分けてお持ちしますよ、と提案しました。
これまた売上は半分になります。
でもお客様は希望通り一口づつビールが飲めて嬉しいはず。

 

 

 

安売りしていいという話ではないです。
(上記の例はどれも安売りはしていません。適正価格をいただいています)


そうではなくて。
「売上や利益を増やすこと」を目的にしないで欲しいという話です。

 

 

売上が小さくなったしても。
「お客様が嬉しく感じること」を続けていけば。
お店はちょっとづつですが、確実に成長していきます。

 


ハーフサイズを提案させていただいたお婆ちゃん。
毎週お店に来てくれる常連様になりました。

 

デザートを食べた3人組のママ。
今度は家族を連れてきてデザートも沢山食べてくれました。

 

ビールを半分にして持っていったお客様。
結局、ワイン2杯に鹿肉まで食べていかれました。

 

 

 


ね。
大丈夫。笑

 

 


売上や利益は。
自分たちがやりたいことをやって。
その結果として残ればいい。
くらいに考えていいでんじゃないかな。

 

 

 

 

もちろん。

「嬉しく感じてもらえるようなこと」をするのは簡単じゃないです。
十人十色のお客様の「こうして欲しい」を敏感に嗅ぎつけて。
それを叶えてあげるための方法を、数分の時間でひねり出す。

 

 


でも、そっちのほうがワクワクしませんか。

 

 

客単価を上げるためにいってこい!と言われたら。
私はやる気が出ない。笑

 

 

それよりも。
どうしたら目の前のお客様に嬉しいと感じてもらえるか必死に考えてみて!と言われたほうが。俄然やる気が出てくるのです。そっちのほうが愉しい。

 

 


だから。

うちのお店では「客単価を上げるために」は禁止します。
「お客様に嬉しいと感じてもらうために」のみ歓迎します。

 

 


そんなことを考えながら。
母のミートソースを食べております。

相変わらず、これは本当においしい。
栄養不足の息子のためか。

野菜が多すぎてもはや煮込みみたいだけど。
それも、また嬉しい。

 

 

:)