2018/08/17(今日は天気が良いですね、という一言だけで)

「今日は雨が降ってるので少し冷えますね」
 
 
 
昨日の話だけど。
 
 
 
 
 
入口でお客様をお迎えしているときに。
光さんがそんなことを一言添えていました。
 
 
 
 
 
同じく昨日の話だけど。
 
 
 
彩花に「いつから飲食の仕事が好きになったんですか?」みたいなことを聞いたら。(彼女は色んなお店で働いていて、僕なんかよりも飲食のキャリアが圧倒的なので)
 
 
接客が愉しくなったのは、お客様に一言声をかけるという習慣が身についてからかも。というようなことを教えてくれました。
 
 
 
 
 
 
 
さて、もう一年以上前の話ですが。
 
 
 
 
お店に異動して1ヶ月くらいの頃。
 
 
何でもそうなのですが。知らないことや、初めてのことに取り組むとき。僕は本を読むことから始めます。(正確には"買う"ところから)
 
 
 
その頃は部屋に「サービの極意」とか「接客の基本」とか「リッツカールトンのおもてなし」とか、そんなタイトルが溢れてました。
 
 
 
面白い本もあれば、どうでもいい本もありましたが。ともかく接客なんて誰にも教えてもらったことはなかったので、書いてあることを、ただ1つ1つやってみることにしたんです。
 
 
 
その中の1つが、一言添える、でした。
 
 
 
料理提供やオーダーとっているときはなかなか難しかったので。
会計に入ったとき。とにかく一言添えてみたんです。
 
 
 
で、ある日。
 
 
 
 
今でも忘れられないのですが。
 
60代くらいのご婦人が一人で赤ワインを嗜んでいられたので、会計の際に。
「一人でワインなんて素敵ですね」と一言添えました。
 
(いま思えば、あまりに洗練されていない一言で少し恥ずかしいのですが。笑)
 
 
 
 
そうしたら。その方がほっと頬を緩めて、笑ってくれたんです。
 
 
「実はね、今朝、病院から検査の結果が届いてね。癌の疑いがあったのだけど、そうじゃないと判明したの。家族にも心配かけたくないから言えないでいたからね。本当に嬉しくて。それで、今日は一人で自分の人生に乾杯してたのよ。お料理、美味しかったわ。ありがとう。」
 
 
 
 
 
 
それが僕が初めて"接客"でお客様に喜んでもらえた瞬間だったと思います。
 
 
同時に。
 
 
それが僕が初めて"接客"で歓びを感じた瞬間でもありました。
 
 
 
 
 
 
 
一言添える。
 
 
 
 
そのたった一言で。
 
 
もしかしたら、お客様との距離が少し近づくことがあるかもしれませんね。
 
 
 
 
 
 
 
 
今日も接客を通じて、お店に沢山の歓びが生まれますように。
僕の本を買ってしまう習慣も、少しは大目に見てもらえますように。
 
 
:)